「こっぱぼーずのお話」



あるところに、一人の若い大工さんがいました。
もうすぐパパになる彼は、もうじき生まれてくるまだ見ぬ我が子のために、一台の木馬を作りました。
やがて元気な男の子が生まれて、彼は父親になりました。
日々成長する息子の、どんどん自由に動きだす手足。
彼は息子の成長に合わせ、誕生日が来るたびに、
うごく木のおもちゃを作りました。

新しいおもちゃを見たときの息子の笑顔や、
おもちゃに触れる息子の柔らかく小さな手足を思いながら、
何度も何度もヤスリをかけて、
可愛い色を塗り、丁寧に丁寧に作りました。
彼は息子の為におもちゃを作る喜びを知り、とても幸せに感じていました。

そのうち彼の弟もまた、父親になりました。
生まれて来た息子の新しいいとこは女の子でした。
彼は姪の為にもおもちゃを作り始めました。
女の子は自分の作るおもちゃにどんな反応を見せるだろう?
どんな遊び方をするだろう?
どんな色がすきだろう?
息子の為におもちゃを作る時とはまた違う、
わくわくした気持ちになりました。

やがて、息子や姪の為に作ったおもちゃの評判を聞き、
彼は父の知人に頼まれました。
「孫娘の為に、世界でひとつの手作りのおもちゃが欲しい」
彼は見知らぬ女の子の為におもちゃを作り始めました。
その子の親や、おじいさん、おばあさんが、
どんなふうにその子を大切に思っているか、
彼は自分の息子への想いと重ねて、気持ちを込めて作りました。

出来上がったおもちゃを届けて、しばらくすると
彼の元へ一通の手紙が届きました。
送り主はおもちゃを届けた女の子のお母さん。
お礼の手紙と一緒に入っていたのは、
彼の作ったおもちゃにまたがる満面の笑顔の女の子の写真。

彼はたとえ見知らぬ子供のためでも、
子供や、その家族に喜ばれるおもちゃを作る新しい喜びを知りました。
もっとたくさんの人に喜ばれるおもちゃが作れるかもしれない。
どこにも売ってない、それを見ると笑顔が溢れるような、
思わず触れてみたくなるような、温もりのある木のおもちゃを、
もっとたくさんの人が欲しがっているかもしれない。

彼はおもちゃ工房を作りました。
名前は「木」と「こども」から
「こっぱぼーず」
今日もまたあたらしいおもちゃがつくられています。
少し時間がかかるけど、すべてが手作り。
子供への愛情を形にした、お父さんの手作りおもちゃ。

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